彩の録

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ロイズタウン駅が開業する札沼線(学園都市線)の意図と展望

先日、札沼線(愛称・学園都市線)に乗ったので、3月に開業するロイズタウン駅を通過した。駅は、生チョコレートで有名なロイズの ふと美工場の南に開業する。

 

ロイズの生チョコといえば、石屋製菓の「白い恋人」とで札幌二大名物といってもいいくらいに大人気だ。そのロイズの本社は、石狩川を挟んで札幌市の「あいの里公園」側にあって、広大な川を渡って当別町に工場をおいている。

https://www.royce.com/brand/contents/story/

ロイズタウン駅は、工場への交通手段を充実させることになる。そしてロイズはおそらく、石屋の「白い恋人パーク」のようなファン向けの施設を始める計画らしい。

石屋の「白い恋人パーク」は札幌市内にあるけど、地下鉄の終点の宮の沢駅が最寄りなのでちょっと遠い。

https://www.shiroikoibitopark.jp/ 

それでも成りたっているくらいなので、ロイズタウンも無謀ではないと思う。札沼線で札幌駅から電車一本だから。ただ、ロイズだけ目あてで札沼線で行くかとなると、コアファンかもしれない。

 

新駅は、「あいの里公園」駅から次駅までの距離を少しだけ短縮して、札幌市と当別町の距離感を少し近くすることになる。

 

当別町の戦略としては、石狩川に近くて市街化に適さない土地を産業用地として利活用して、産業振興して事業所を増やすことだと思う。

当別町は、札幌市のベッドタウンとして居住人口を増やす戦略は採ってきた。住宅地は石狩太美石狩当別が中心だ。

ただ近年は、札幌市の近隣に事業拠点をおく企業が増えていて、江別市北広島市恵庭市など、とりわけ新千歳空港や苫小牧方面へ展開されてきた。ファイターズまでも北広島市に移転する。

他方の石狩市も、石狩湾新港の関連や、さくらインターネットがデータセンターをおいたことで知られている。しかしその石狩市には鉄道がない。

そうしてみると、当別町は出おくれた感もある。その中で成功している先行事例の典型がロイズなのだ。

今後、産業振興が進めば、当別町の就労人口、経済規模、税収が増える。そしてロイズは当別町内でさらに、主要企業として、先輩分として、有利な立場になるだろう。

そして、新駅は札幌市と当別町との距離感を近くする。現状では、次駅の石狩太美駅までがとても遠い。それが近く感じれば、移住者増につながる可能性がある。

 

この2年間は、観光産業が変容して、みやげものの売れかたも変わった。その点でも、業者は戦略を再検討する必要がある。実際に石屋製菓は、道外や国外に自社製品を売り込もうとしている。今までは道内にやって来る客に売ればよかったが、今は減少して、道内からの観光客の比率が高くなってきている。

そうしてみるとロイズは、もともとが生チョコは要冷蔵で旅行みやげに不利だったけど、新千歳空港に「ロイズチョコレートワールド」を出店して旅行客にアプローチしてきた。

https://www.royce.com/brand/contents/chocolateworld/

ただそもそも生ものは品質劣化しないうちに早く食べたほうがいいので、究極には、できたてを食べればいい。だから工場で食べるといい。

それにロイズも主力商品は生チョコでも、パンやケーキを主に札幌の直営店で売っている。札幌市民にもロイズファンが多い。

 

JR北や札沼線にとってみると、現状では「あいの里公園」駅までは利用者が多く、しかも札幌中心部への通勤は多い。当別町のほうは人が少なくなる。それが新駅で就労人口や日中の利用者が増えると、札幌駅への通勤とは逆向きで当別町内へのアクセスが増えるので、札沼線の採算が向上する。列車を「北海道医療大学」駅まで走らせる意義が高まる。

 

札沼線が、石狩沼田(留萠本線)まで行かなくなっていわゆる「盲腸線」になり、さらに「北海道医療大学」駅までは電化した。けど、そこから「新十津川」駅までは末期には一日一本、結局廃止された。

その結果として、札沼線はJR北では珍しく、都市近郊型路線になってきている。その流れを活かそうとするなら、当別町の開発が課題だ。逆にさびれてしまったら「北海道医療大学まで走らせる必要があるのか」と問われかねない。

「ロイズタウン」駅は、攻めの生き残り戦略なのだ。