彩の録

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パスポートとクレジットカードと署名の話

日本国では現時点では、氏名の読みがなは、戸籍などに公式には登録されておらず、だから公的に証明することも原則としてない。

例外が旅券つまりパスポートだ。世界の言語のマジョリティ(支配層)、デファクトスタンダードがヨーロッパ系言語なので、パスポートに記載する氏名の文字種もアルファベットいわゆるローマ字だからだ。そうすると、実名(本名)である日本語の文字に対応する読みがなをローマ字で記載することになる。そうしなければ国際的に通用しない。そういうインドヨーロッパ系語族以外に対する差別が世界には厳然とあるといえる。

 

さて、パスポートやクレジットカードやブランドデビットカードなどの署名をどうするかというのはFAQだろう。

実際には、自分自身の人格を示す署名ならば、言語や文字に制約はない。

しかし、パスポートで印刷されている氏名はローマ字なのに、ほとんどの日本国人は、実名がローマ字ではない。よって、本当の氏名を示す間接的な手段として、署名欄に実名そのものを書けば解決するということがいえる。

そうすると、国際旅行をしたときに身分証明書の署名と一致したほうが無難なので(一般的には、自分を示す署名は一つだから)、クレジットカード等の署名もパスポートと同じにしたほうがいい、ということはいえる。

 

よって、バカ正直ではあるが、戸籍に登録されている実名で署名するのが最適解だというオチになる。

 

ちなみに、実名と読みがな問題は、日本社会の闇である。

銀行等の口座ではヨミガナで一般的に処理されているし、「消えた年金問題」の一因も実名の読みがながわからないために名寄せがうまくいかなかったことにあった。

 

だから、戸籍法を改正して読みがなを戸籍に登録しようという動きがある。しかしこれはこれで日本の闇だ。

いままで読みがなを統一せずに暮らしてきた人からは、いまの社会生活の実態を奪って制限することになる。

例えば、漢字では男性名にも女性名にもなりうる実名のトランスジェンダーな人が、読みがなで社会生活を解決していることが実際にいくらかある。そうすると、読みがなを勝手に登録されたら性差別である。さらにいえば、ジェンダーフルイドな人は読みがなを複数つかいわけて暮らしていることが大いにあり得るので、一つに強制されることは私権の制限であり、差別になる。

 

考えてみれば問題の本質は、パスポートや社会慣習で読みがなをつかってしまっていることにある。

そして、パスポートにローマ字をつかわないといけないという世界人類社会の差別的な既成事実に問題があるのだろう。